本当は近いカエルとヒト

 新型コロナ禍で、いちばんよく遊びに出掛ける時期に引きこもらざるを得ず、カエル活動が全くできていない。仕事はほぼ通常モードだったのに。

 ところで、ヒトはサルよりもカエルに近いと常々考えている。見た目的には首から下はだいたい同じかんじがする。サルみたいに毛むくじゃらで尻尾のある生き物とは違うのだ。

 脊椎動物の分類は、哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類となっている。哺乳類とその他の区別は乳があるかないかでつけている。乳だ。まず乳から分けているのだ。

 生まれ方で分けたのならば、例外が多すぎる。ヘビだって卵で生まれる者もいればお腹から生まれてくるものもいる(卵胎生が多いがちゃんとした胎生もいるらしい)、サメもそうだ。インドネシアには卵でなくオタマジャクシを生むカエル(Limnonectes larvaepartus)もいる。カモノハシのように卵で生まれる哺乳類もいる。ちなみにカモノハシは乳首はないが乳腺はあるらしい。

 これは私の勝手な詮索だけど、生き物の分類方法は人間が勝手に決めているものだから、決めた人や認めた人にとっては生き物のパーツの中では乳が最重要だったというだけかもしれない。男性にはそういう人は多い。多分、尻派より乳派のほうが多い。

 もしも尻派が分類方法を決めていたなら、きっと尻尾が最重要ポイントだったはずだ。すなわち、まずは無尾か有尾で分ける。そうすると、ヒト、カエル、類人猿、ペンギンなどが同じ分類になる。カエルも類人猿もペンギンも確かにヒトに似ている。ヒト様の外観をしている。

 カエルはさらに病理研究のモデル生物でもある。低コストで繁殖・飼育可能なだけでなく、ヒトの疾患に関わる遺伝子の大半はカエルにもあるらしい。甘いもの全然食べなさそうなのに糖尿病の遺伝子を持っているのだカエルは。

 ところで、昔、カエルツボカビというものがカエル好きを震撼させたことがあった。カエルの皮膚に寄生繁殖する菌で、カエルは皮膚呼吸困難になり死に至る。世界中で猛威を振るい、カエルを大量死させ、絶滅した種も何百種類という。そんなものが日本に上陸してしまったら、里山の農道や林道はカエルが死屍累々の地獄絵図状態になってしまうという恐怖に煩悶したのだ。

 ところが、日本のカエルは平気だった。日本というか、東アジアの野生のカエルは平気だったのだ。今の新型コロナウィルスのように。

 日本で罹患したのはほとんどがペット用の外来種で、そこらにいいる野生の在来種は全く影響がなかったのだ。

 カエルツボカビ菌が蔓延しなかったのか?というとそういうわけでもなく、というかそもそも大昔から日本に存在していたらしい。

 カエルが抗体を持っていたのかというとそういうわけでも無いらしい。抗体検査をしたところ陽性率はオオサンショウウオは40%、沖縄のシリケンイモリは80%が感染していたが、カエルは1%以下だったという(いずれも陽性でもいたって健康体)。遺伝子解析の結果日本にはかなり古くから多様なカエルツボカビ菌がすでに存在していたらしい。

参考;麻布大の宇根先生の文献↓

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jve/17/2/17_138/_pdf/-char/ja

 なんだか、今の新型コロナと日本人に似ている。抗体検査結果は陽性率は東京で0.10%、大阪で0.17%。私も京阪神エリアで通勤しているが、ここ数年、国が入国制限するまでは通勤時間帯の通勤電車には外国の観光客がいっぱいいたのだ。大阪の会社員なんてほとんどとっくに抗体持ってるもんだと思っていた。

 抗体は無いけど感染もしない。そういうヒトが多いのかもしれない。なぜか?それはきっとカエルをもっと研究することで解明するかもしれない。

 カエルツボカビに関しては、大昔から日本や東アジアの両生類はツボカビと共に進化してきたからでは?ということだが、ともに進化ってどういうことなんだろう?

 土着の保護物質とか風土的な要因で感染しにくい遺伝子とかが発達してしまったとか、具体的にはよくわからないが、ヒトはカエルに似ているから、日本人も大昔からなんだかいろいろなウィルスに実はさらされていて、ウィルスとともに進化?したのかもしれない。